これは、しばしばお問合せ頂く内容です
「自分は発達障害なのですが、通っても良いですか?」
「子供が学習障害なのですが、通わせても良いですか?」
「発達障害でもピアノは上手くなりますか?」
上記の様なメールをいただくことがあり
特に、今年に入ってから増えてきた印象です
不安をたくさん書いたメールを何度も送っていただく方もおられます。
あくまで自己申告ですが
発達障害を持った方で、現在教室へ通っておられる方は何人もいらっしゃいます。
内情を知りたい方も多いと思いますので
今回は
現在教室に通っている2人の生徒さんを例にしてみます。
本人(&保護者)に許可を頂いたので
・どのようなレッスンをしているのか?
・どこまで上手くなれるのか?
・何が出来ないのか?
できるだけ詳しく書いてみます。
ケース1
【軽度の発達障害・アスペルガーと診断された大学生】
現在、教室に通い始めて半年ほど経過します。
「ピアノで弾き語りや作曲をしてみたい」
を目的に来られた方です。
米津玄師・Official髭男dismが大好きで、
音楽経験はありません。
非常に気さくで明るい方です。
本人曰く
単調な作業はできるものの、マルチタスクは全然出来ない。
運動は全く出来ないそうです。
レッスンを始めてみてわかった事は
・レッスンに必ず遅刻してしまう
・「1234」と、リズムをカウントできない
・長々とした文章は、混乱してしまう
・コードのベタ押しはできるが、リズミカルなバッキングはできない
・音符を単体で読むことは出来る→「ド」とか「ソ」とかは解る。
しかし、全体を通して読むことは出来ない→メロディのリズムを想像することや、拍子を把握することは出来ない
・課題を出しても、お家でやってくるのは難しい→サボっている訳ではなく、必ず忘れてしまう
こんな感じですね
::遅刻に関して::
遅刻してくる前提でスケジュールを組むようにしています。
この方はピッタリ30分遅れるので、
それを見越して予約をお取りします。
次回予約を取るための連絡も忘れてしまうため
半月ごとに確認のlineを送るようにしています。
月に2回、レッスンに来ていただいております。
(学校の試験がある月はお休み)
::リズムのカウント::
これは発達障害を抱えている方が共通して苦手です。
音楽を聴きながら、リズムと数字を同時に考えることが出来ず
リズムを意識すると数字を忘れて、
数字を意識するとリズムがズレる様です。
この場合は無理して訓練せず
なんとなくの勘で捉えてOKとしています。
この大学生は
“シンプルな8ビートなら捉えられる”までは上達しました。
一方で裏拍が混じったリズム、jazzのスィングは全く捉えられない為
練習する課題曲は、一緒によく考えて選びます。
::理論の学習::
音楽理論は文章化すると混乱する為
子供用の教材イラストを使いながら視覚で覚えていきます。
この大学生は、3和音のコード理論は問題なく理解しましたが
「4和音以上や、途中で転調する曲は思考停止してしまう」
と言うので、これらは扱わずにレッスンを進めていきます。
譜読みに関しても、最低限だけ学習し
後は様子を見ながら・・としています
::課題に関して::
課題(宿題)をお家で消化することで、上達が促進するのですが
この学生さんは難しい為、課題は一切出しません。
「その都度レッスンで一緒に練習しよう」という形式を取っています。
::これまでの成果::
・let it be / the Beatles
・炎 / Lisa
・宿命/ Official髭男dism
上記3曲。
ベタ押し・4分打ち・8分打ち・アルペジオ
を駆使しての弾き語りはクリア。
現在
・115万キロのフィルム/Official髭男dism
なるべくUSTコードを駆使して弾くことを練習中
この方とは体験レッスンの際に
「期限を決めて上達することは難しいので
マイペースに通っていただいて
少しずつスキルを増やせれば良しとしましょう♪」
と互いに同意して始めました。
この方に限らずですが
上達に期限を決めてしまうと
どうしてもレッスン内容が濃くなってしまい
自主練が必須になります。
これは本人の首を絞める結果になってしまいますので
体験レッスンの際には
「マイペースな上達を受け入れられるか否か」
を必ず確認させていただいております。
次回はお子様の発達障害のケースを見てみます。