ヒトと音楽の進化論

万物は元より、芸術としては生まれず。

 

音楽も例に漏れず

起源を辿れば、人類の身体・声・社会性から生まれた活動のひとつだった。

先ほどこの本を読み終え得た率直な感想です。

以下、レビューと、なんとなく考えた事をつらつらと書いております。

興味のない人はスルーでお願いします。

 

【人類はなぜ音楽を始めたのか?】

そして

【なぜ音楽を作るのか?】

この本では、音楽を文化史だけで捉えるのではなく、人類の身体と脳の進化という観点から考えていきます。

音楽能力とは「脳内のさまざまな機能領域と重なりながら成立しているもの」と捉え、とりわけ「直立二足歩行」を大きな分岐点として考えています。

二足歩行によって両手が自由になり、直立することによって呼吸や発声、身体運動のあり方も変化していった。

身体運動 → リズム → 発声 → 歌 → 楽器

そんな変化の延長線上に、音楽の進化を見ていくわけですね!

やがて人は音の高さや響きの関係そのものを整理し始めます。

ピタゴラス音律、純正律、十二平均律

ダイアトニックやペンタトニック

そうした音律・音階の概念が長い歴史の中で整理され、体系化されていきました。

単旋律 → ポリフォニー → 三和音 → 和声法

と、複数の音を同時に鳴らしたときの「響き」についても理論化されていくと。

 

個人的に面白かったのが

教会建築の関係でした。

現代のようにライブハウスが存在しなかった時代、教会は音楽が奏でられる空間のひとつでした。

そこで聖歌なり、弦楽器なり、オルガンが鳴らされる。

注目すべきは建物そのもの。

現代の鉄筋コンクリート建築とは異なり、巨大な石造建築の教会では音が長く反響するらしく

その空間で音を重ねたとき、「どの音程が美しく響くのか」「どんなハーモニーなら濁らないのか」

作曲家たちはそうした音響を考慮して作ってきた訳ですね。

そして長い年月を経て和音(コード)が体系化され、そこからコード進行へと発展していった。

 

一方で人類は「記録する技術」も手に入れました。

記譜 → 複製 → 印刷

奏者の記憶の中だけに保存されるものだった楽曲は、コピーできて、遠くへ運べて、後世に残せて、そして分析できる。

そんなデータとして扱われ始めた訳です。

ちょっと面白かったのが

著者がバッハをある意味で

「デジタル音楽の父」

として捉えているところ。

バッハは音を

音高・長さ・タイミング

といった離散的な記号として、極めて精密に楽譜へ記録していきました。

これは現代のMIDIの概念に通じるものがあります。

 

そして本題

「なぜ人は音楽を作るのか?」

お金になるから。

宗教儀礼で必要だから。

仕事だから。

そうした明確な目的の話ではなく

「そもそも、なぜ?」

という哲学的な問いです。

それまでの章を通して見えてくる音楽の起源は

「人間の身体・声・社会性から生まれた活動」

というもの。

やがて複数の人間が同じ時間を共有するためのコミュニケーションツールになり

時代ごとに突出した才能を持つ人間が現れ

他人の琴線に触れる作品を生み出していく。

それに感化された人は模倣を始める。

模倣しているうちコツを掴み

自分でも何かを作り始める者が出てくる。

その中に

究極の完成品を目指すのではなく

「音を遊ぶ」ことそのものに悦を感じる。

そんな僕の様な人間が出てきた訳ですね。

「音が鳴る」それだけで美意識が揺れ、面白おかしい。

そんな自適な芸事になっていきました。

 

時は2026年、生成AIの台頭です。

ハッキリ言って、特段頑張って練習しなくても、ネット環境さえあれば、かなり完成度の高い音楽を作れる時代です。

では、なぜわざわざ演奏を練習するのか。

なぜ、わざわざ音楽セオリーを学ぶのか。

なぜ、人生の時間を消費してまで音楽を作るのか。

行き着くのは、結局

「自分が楽しいから」

という、実に月並みな答えだったりします。

「自分が楽しいからやっている」

「試行錯誤している時間に悦を感じる」

従ってその時間に価値や意義を感じている。と、、

 

アリストテレスだったかな?

彼も似たようなことを言っていた記憶がありますが、今も昔も、人間の有り様というのは変わらないようで

「楽しみなさい」と。

あれ、、イエスだったかな?

この様に出自が曖昧な文章はとてもAIには書けないでしょう(笑

 

生成AIの出現は、時に最も人間らしい部分を露出させ、再認識させてくれるような気がします。

AIが人間より上手に曲を作れるようになったとして

「だったら、人間はもう楽器を弾く必要ないよね」

とはならないし

「もうアレコレ思考する意味はないよね」

とはならない

 

音楽に限らず

完成品の品質だけでは測れない価値がまだまだそこにはある。

僕はそう信じております。

 

文字数オーバーなのでこの辺で終わります。

 

今回は真面目に書きましたが。

次回はまた◯夢ネタに走って軌道修正を図りたいと思います。